「重量鉄骨はやめとけ」と言われるのはなぜ?一戸建てにおけるメリット・デメリットを解説

マイホームづくりでは木造・鉄骨造など構造も重要な選択肢の1つですが、「重量鉄骨はやめとけ」という意見を見かけることも多いです。

重量鉄骨造は扱っているハウスメーカーが少なく、一般的な木造戸建て住宅と比較すると着工棟数も多くないため、ネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃるようです。

そこでこの記事では、重量鉄骨造の一戸建てを建てるメリット・デメリット両面を掘り下げ、木造と比較検討してみます。

最後に、木造と重量鉄骨造どちらがおすすめなのか、選び方のポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

コラムのポイント
  • 建築費用の高さ、防音性や断熱性の低さなど、重量鉄骨はやめとけと言われる理由について詳しく解説します。
  • 柱の少ない大空間をつくりたい、オーバーハングなど特殊な間取りにしたい場合は、重量鉄骨造の方が向いている可能性があります。
  • 一般的な広さや間取りの一戸建てなら、コストパフォーマンスに優れる木造住宅の方が多くの要望を叶えられる可能性が高くなります。

 

重量鉄骨はやめとけと言われる理由とは、デメリットを確認

重量鉄骨の家の骨組み

重量鉄骨造の戸建てを建てるのはやめておけと言われる理由について、一般的なデメリットとして挙げられるポイントを紹介します。

建築費用が高い

重量鉄骨造の家は一般的な木造住宅より建築費用が高く、一般的な相場より予算オーバーしやすい点は大きなデメリットです。

 

 

坪単価

木造

約71万円

鉄骨造

約103万円

参照:建築着工統計調査2024年 A居住専用住宅の工事費予定額・床面積の合計から算出

 

一般的な戸建て住宅で多い木造の坪単価約71万円に対し、鉄骨造は約103万円と1坪あたり32万円の差があります。

上記は軽量鉄骨も含めた平均値ですから、重量鉄骨の場合はもう少し坪単価が高くなる可能性も考えられます。

 

 

木造

鉄骨造

30坪

2,130万円

3,090万円

40坪

2,840万円

4,120万円

50坪

3,550万円

5,150万円

 

さきほどの坪単価に延床面積をかけると、木造住宅と鉄骨造住宅の建築費用の差は上記の通りです。

延床面積が広いほど建築費用の差も大きくなり、重量鉄骨造で建てる場合は予算オーバーのリスクが高くなる可能性があります。

防音性が低く音がうるさい

重量鉄骨の家は防音性が低く、上の階の足音や隣の部屋の物音が伝わってうるさいと言われることも多いです。

ただし、防音性については、重量鉄骨造のデメリットが特別に大きいわけではありません。

確かに木材より金属の方が音を伝えやすいため、柱や梁など構造体自体の防音性は低くなる可能性があります。

しかし、重量鉄骨造でも、壁や床の構造に工夫することで防音性を高めることはでき、木造より性能が劣るとは一概に言い切れません。

鉄骨造の家がうるさいと言われるのは、コスト削減を優先した軽量鉄骨造のアパートなどのイメージが一般に広まっているのも一因です。

また、日本の建築基準法では、戸建て住宅に対する防音性や遮音性についての規定が無く、昔建てられた鉄骨造はうるさい家が多かった可能性もあります。

断熱性が低い

鉄は木材より熱伝導率が高いため、重量鉄骨造の家は断熱性が低く光熱費が多くかかると言われることも多いです。

しかし、住まいの断熱性は天井や壁の内部の断熱材、窓ガラスやサッシ枠などの性能に大きく左右されるため、重量鉄骨造だけのデメリットとは言い切れません。

木造でも昔の家はシングルガラスの窓で断熱材も使われておらず、冬は寒く夏は暑いケースがほとんどでした。

重量鉄骨造の家も窓や断熱材によっては断熱性が低くなる可能性はありますが、対策は可能です。

また、2025年4月からはすべての新築住宅に対し省エネ基準への適合が義務付けられたため、木造・重量鉄骨造どちらでも一定水準の断熱性は確保されています。

鉄骨がサビるリスクがある

重量鉄骨造の家の柱や梁などの構造物は、鉄製のためサビるリスクがあるというのもデメリットに挙がることが多いポイントです。

しかし、木造住宅でも雨漏りが発生すると木部が腐食しシロアリ被害が発生するリスクはあるため、重量鉄骨造の家ばかりデメリットがあるわけではありません。

どのような構造の家でも、耐久性が高い屋根材や外壁材を選び、適切な施工をして雨漏りを防ぐのが長持ちさせるポイントとなります。

扱っているハウスメーカーが少ない

木造住宅に比べると、重量鉄骨造の家は扱っているハウスメーカーが少ないのもデメリットの1つです。

重量鉄骨造は大手ハウスメーカーなどが扱っているケースが多く、地域ハウスメーカーや工務店では建てられないことも少なくありません。

建てたい場所の近くに重量鉄骨造を扱うハウスメーカーがなかったり、予算内で建てられる会社が見つからなかったりするリスクが考えられます。

重量鉄骨のメリット

重量鉄骨の家の広いリビング

先ほど挙げたデメリット以外に、重量鉄骨造で家を建てるメリットについても把握しておきましょう。

柱スパンを広く取れて設計の自由度が高い

重量鉄骨造は木造や軽量鉄骨造より柱スパンを広く取ることができ、設計の自由度が高いため理想の間取りを実現しやすいのがメリットです。

例えば、柱のない2台用ガレージハウスや壁が少ない大空間のLDKなどの間取りは、木造より重量鉄骨造の方が自由度は高くなります。

品質のばらつきが少ない

重量鉄骨造に使われる鉄骨は工場で生産される工業製品のため、品質のばらつきがなく安定した性能の家を建てられるのもメリットです。

最近は木造住宅もプレカット構法によって品質が安定していますが、自然素材であるためある程度品質にばらつきは生まれます。

鉄骨には木材のような年輪や節などがないため、経年劣化で割れや反りが発生せず、築年数が経ったときも安定した品質が期待できます。

耐用年数が長い

重量鉄骨造の家は、木造住宅より耐用年数が長いのも魅力的なポイントです。

 

木造

22年

軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3mm以下)

19年

軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3mm超4mm以下)

27年

重量鉄骨造(鉄骨の厚み4mm超)

34年

 

上記は税法上の法定耐用年数ですが、木造や軽量鉄骨より重量鉄骨の方が長く設定されています。

適切なメンテナンスを行うことが前提ですが、マイホームに長く暮らせて資産価値を保ちやすいのは重量鉄骨ならではのメリットです。

【結論】木造・鉄骨造どっちがおすすめか

重量鉄骨の家の外観

ここまで見てきたように、重量鉄骨造にはメリット・デメリット両面があり、木造とどちらを選ぶべきか迷いますよね。

結論としては、構造ありきで選ぶのではなく、理想の間取りや叶えたいライフスタイルなど、建てたい注文住宅から逆算して考えるのがおすすめです。

例えば、一般的な広さと間取りの2階建て住宅なら木造でも対応でき、予算を抑えてより多くの要望を叶えられる可能性が高いです。

延床面積が広い二世帯住宅、柱や壁のない広いガレージやLDKなどをつくりたい場合は、重量鉄骨造の方が実現できる可能性が高くなります。

もちろん、予算に余裕があれば、木造で対応できる間取りでも重量鉄骨造で建てても問題ありません。

しかし、予算内で理想の注文住宅を建てるためには、要望に優先順位を付けて、どの構造で建てるのがベストか比較検討することが大切です。

木造・鉄骨造両方に対応するハウスメーカーに相談しよう

理想のマイホームづくりに木造・重量鉄骨造どちらが向いているのか迷ったら、両方の構造に対応しているハウスメーカーに相談するのがおすすめです。

木造・鉄骨造どちらかしか扱っていないハウスメーカーだと、平等な視点でのアドバイスは難しいです。

どちらにも対応しているハウスメーカーに相談して、理想のマイホームに木造・鉄骨造どちらが向いているのかアドバイスしてもらいましょう。

リョーエンホームは、制震木造・重量鉄骨造両方に対応し、お客様のライフスタイルや目的に合わせたご提案が可能です。

福井県でマイホームをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。